三上岳彦先生(東京都立大学名誉教授)にヒートアイランド現象〜再開発のあり方と緑の効用〜について、お話を伺いました。
再開発にあたって、水と緑と風に気をつけなくてはならないことが良くわかりました。
◉ヒートアイランド現象とは
・都市部の気温が周辺の郊外や自然地域よりも高くなる現象。
・ヒートアイランド現象の特徴は、夜になっても気温が下がりにくいこと。
◉気温の実測が大事
・先生方は小学校の百葉箱など100ヶ所以上に測定器を置いて気温を測定。
・地表温度だけを見ても意味がなく、気温が大事。局所的な対応ではなく、広範囲での計画が必要。
◉緑の効用
・夏の千代田区市街地では、午前中から夕方まで猛暑で、夜間から早朝も気温が高い。
・同じ千代田区でも大手町と北の丸公園内では明け方の気温が2℃も異なる。
◉主な原因は次の三つ
①ビルの空調や自動車などの人口排熱が増えること
②アスファルトなどに覆われた地面が熱をため込むこと
③中高層ビルが密集することで海風が通らないこと
◉対策は、「水」「風」「緑」
①水辺空間(川や池)を増やすこと
②風の道をつくること
③樹木や公園を増やすこと
+人工排熱を減らすこと
◉再開発の影響
・樹木が大量に伐採されること、高層ビルが建ち並ぶことは深刻な問題である。
※汐留など湾岸に高層ビルがあると海風が通らない
・行政は「風の道を作った」と言うが、風はそんなに都合良く作られた道を通らない。
・ビルの表面や谷間は地表温度が下がることがあるが、局所的。風が弱まることが一番の問題。周りは高温になる。
◉海外は公園や樹木、水辺空間を重視
・ニューヨークにはセントラルパーク341ha、ロンドンにはハイランドパーク141haがある。新宿御苑は56ha。
・韓国では高速道路を取り除き川に戻した。
・「樹冠被覆率」🟰樹木の枝や葉が地表を覆う割合を重要指標としている。
・都市環境の改善や気候緩和の観点では「樹冠被覆率」が大事。
・「緑被率」は、生態系保全や自然環境評価に適している。
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