政治は変わらないって本当?都議選の数字が語る変化の兆し
- 香織 浜森
- 3 日前
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更新日:1 日前
前回は千代田区の状況について書きましたが、今回は視野を広げて「都議選全体」を数字で振り返ります。投票率の推移や政党の勢力変化など、表やグラフを交えて分析しました。
■争点テーマ
まず、争点として重視したいテーマ(複数回答)について見てみました。読売新聞の電話・インターネット調査によると、「物価高や賃上げ対策」が78%と最も多く、続いて「医療や福祉政策」が51%、「防犯や治安対策」47%、「政治とカネ」43%とのことでした。対象人数が1,463人と少ないものの、皆さんの実感とも重なるのではないでしょうか。
出所:都議選の投票先、自民は横ばい・国民民主は下落し都民ファーストが逆転…読売情勢調査 : 読売新聞 ※調査は6/13~15、都内の有権者を対象に実施。計1,463人から回答
■投票率
次に気になるのは投票率です。1989年には約58.74%あった投票率ですが、1993年以降は、40%代前半から50%代前半を行ったり来たりしています。 今回は前回の約42.39%から5.2ポイント上がり約47.59%でした。
<投票率の推移>

■女性議員の割合
次に当選者における女性割合について。定数127人のうち女性は、前回41人(約32%)でしたが、今回は48人(約38%)まで増えました。増えた理由としては、シンプルに女性候補者が多かったことが大きいと考えられ、候補者295人のうち女性は過去最高の99人でした。
<男女別獲得議席数と女性の割合>

■知事与党の割合
政局を見る上では、小池知事与党(都ファ・自民・公明)か野党かということが重要となります。
※本来、二元代表制を採る地方議会には与党も野党もないはずなのですが、現状はそうなっていません。
無所属・諸派の議員や国民民主などの動向は不確実なため、確実に知事与党となる都ファ・自民・公明割合で見てみました。
知事与党会派の割合は、前回(自民33+都ファ31+公明23=87/定数127=69%)から減って(自民21+都ファ31+公明19=71/定数127=56%)となりました。
一見、知事与党の勢力が小さくなったようにも見えますが、議決の際に必要な過半数を超えており、また元自民党議員など一部無所属・諸派の議員が与党会派に入る予定もあることから、情勢は変わらないと言えます。 出所)都議選2025 選挙結果 -東京都議会議員選挙-|NHK
■自民党の裏金問題の影響
国会に続き、都議会自民党も、お金の問題がありました。政治資金パーティーで集めたおよそ3500万円の収入を政治資金収支報告書に記載していなかったのです。彼らの結果はどうだったのでしょうか。
不記載が確認された議員のうち17人が立候補し、12人が当選、5人が落選しました。当選率は(12/17=約71%)でした。
※11人が自民党公認で立候補。(9人が当選・2人が落選)
※幹事長経験者の6人は非公認・無所属で立候補。(3人が当選・3人が落選)
一方で、自民党全体では、候補者42人のうち当選者21人と半数でしたので、当選率は50%と例年になく低い数値でした。
本人が裏金・不記載と関係なくても、自民党全体の裏金イメージや、減税に消極的な国政に対する逆風を受けた可能性があります。
<自民党全体・不記載議員の当落>

■当選者数(議席)と当選率
政党別で見ると、最も議席を獲得したのは、都ファでした。続いて自民、公明、立憲民主となります。議席獲得数が上位にもかかわらず自民党が当選率50%と低かったのは前述の通りです。
強いと言われていた共産党が約58%、躍進した国民民主も約50%でした。
無所属・諸派が17%と低く、これだけ見ると、一般的には政党に所属した方が当選しやすいと言えそうです。
<政党別の当選率・当選者数・候補者数・得票数>

しかし、得票数で見ると、無所属・諸派の得票数は123万人とかなり多く、東京の有権者は無党派層が多く、既存政党に対する不信感があることが伺えます。
(実際には難しいものの)戦略的に候補者を配置できれば、もっと無所属・諸派の当選者を出せた可能性があると感じました。
<政党別得票数>

■政党の勢力推移
最後に、2001年以降の政党勢力の推移を見てみました。立憲については、傾向を掴むために過去の民主(2001年~2013年)と民進(2017年)の数値を使用しています。
こうして見ると、自民党が2013年に比べて半分以下に減っていることがわかります。
また立憲・民主党系が2009年の政権交代前、54議席もあったことは驚きです。
2017年、地域政党の都民ファーストが出てきたことで、自民も立憲・民主党系も大きく票を減らしました。しかし、立憲は前回2021年に続き拡大傾向ではあります。
その他、2013年に初めて議席を獲得し、7人を都議会に送り出したみんなの党は4年でなくなっています。今回、維新も議席を失いました。
躍進した国民民主や参政党は長期的に議席を獲得して拡大していくことができるのか、今後に注目です。
また、都議会で強い公明党・共産党が共に議席を減らしていました。
特に公明党にいたっては、落選者(3人)を出したのは36年ぶりとのことです。両者とも、組織票があるものの高齢化していることが要因と言われています。
<政党別の議席数推移①>

<政党別の議席数推移②>

出所)
■選挙で政治は変わる
以上、数字を元に都議選における民意と変化を見てみました。
2001年からの24年間を見ただけでも、既存政党の力が弱まり、新しい政党ができたり衰えたり、女性議員が増えたりと変化が見えます。
変わらないと思っていた政治も、長い目で見ると確実に変わってきていることがわかります。
次は、いよいよ参議院選挙(7月3日公示・投開票20日)です。
変わらないと思っていた政治も、長い目で見ると確実に変わってきていることがわかります。
物価高騰や経済対策はもちろん、農業政策や年金制度、夫婦別性、改憲など、わたしたちの生活に直結するテーマが問われます。
ぜひこの機会に各政党の政策・立場を見て投票先を選びましょう!
選挙に行って、災害にも経済にも強く、誰もが安心できる優しい社会へと変えていきましょう。
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