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工藤勇一先生のお話〜主体性と当事者性を育む教育を

  • 執筆者の写真: 香織 浜森
    香織 浜森
  • 3月9日
  • 読了時間: 3分

ドラマ「御上先生」の監修もされている工藤勇一先生のお話を伺いました。いかに「主体性」「当事者性」が大事かを教えて頂きました。先生方はもちろん、行政や政治家、保護者など、教育に関わる全ての人に聞いて欲しいお話でした。


これまでの思い込みではなく、今の時代に合った教育について、海外事例やデータを用いてみんなで考えていくことが必要だと思いました。


麹町中学の卒業生から質問もあり、とても有意義な場となりました。企画してくださった皆さまに心より感謝申し上げます。


以下、要点です。


1. 不登校と自殺の増加、日本の教育への国連の指摘


•日本の不登校は 34万人(実際は40万人) に達し、OECD諸国でも深刻な問題。

•アメリカでは「不登校」の概念がなく、ホームスクーリングが広く認められている。

•日本の若者の自殺は年間527人で若者の死因の1位。

•OECD加盟国の中でも 自己肯定感や幸福度、当事者性等無が著しく低い。

•国連からも下記の指摘を受けている。

①過度な競争と圧力

②画一的な教育

③生徒の多様性への対応不足

④教師の負担の大きさ



2. 生きる力とは何か?


•主体性・当事者性・幸福感・自己肯定感 を持つこと。

•日本では過度な管理で 「主体性」 を奪い、従順な生徒を育てている。

•指示が多すぎると 自律できず、問題を他人のせいにしやすくなる。

•デンマークでは、喧嘩も学びの一環とし、教師は見守るだけ。

•主体的に取り組むとドーパミンが出る。

•子ども自身がルールを決める経験を通じて主体性と当事者意識を育むことが大事。



3. メタ認知能力を育む学びへ


•メタ認知能力とは、自分の思考や行動を客観視し、改善する力。

•主体性を発揮する上で不可欠。

•ヨーロッパの子どもたち は、コーチに「なぜこの練習が必要なのか?」 と質問し、納得した上で学ぶ。

•日本の子どもたちは、言われたことをそのままやる受動的な学びが主流。

•「考える力」を育てる環境が不足している。



4. 多数決の問題、対話で合意形成を


•日本では問題解決の手段として多数決が多用 されているが、少数意見を切り捨てるリスクがある。

•ヨーロッパでは、多数決は 「どちらでも問題がない場合」にのみ使用する。

•「共通の目的」を見つけ、対話を通じた合意形成が重視される。

•トラブルが起きた際、「人の気持ちを考えろ」と言うのではなく、感情と理性を分け、双方の利害を整理し、対話によって折り合いをつける訓練を行う。

•日本の教育に一番不足しているのは、対立を対話で解決する力。大人もできていない。



5. 未来に求められる力

•知識の暗記ではなく、「自ら考え、行動する力」。

•日本の教育は、過去の成功モデルに依存し、画一的な価値観を押し付けている。

•世界は大きく変化している。

•今後は、主体性を尊重し、当事者性やメタ認知能力を育てることが求められる。

•対話を通じた合意形成を学ぶことも必要

•教育の目的は、単なる学力向上ではなく、「幸福で自律した人生を生きるための力」を育むこと。



 
 
 

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