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福島のその後と未来に残すこと

  • 執筆者の写真: 香織 浜森
    香織 浜森
  • 3月17日
  • 読了時間: 4分

土曜日、専修大学で開かれた日本ペンクラブ90周年事業「平和の日の集い ― ポスト3.11 原発回帰を考える」に参加しました。



会場となった大教室には、200人ほどの参加者が集まっていました。



福島の原発事故から15年。


当時は原発に対する危機感が強く語られていましたが、いまは再稼働を認める方向へと社会の空気が変わりつつあります。



また、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃など、世界情勢も緊張が高まっています。日本も戦争に関与していくのではないかという不安の声も聞かれる中、原発と戦争という二つの問題を切り離さずに考えようという趣旨で開かれたイベントでした。



司会は、私たちもお世話になっている大城聡弁護士。


登壇者には、同じくお世話になっているフリーライターの吉田千亜さん、ジャーナリストの金平茂紀さん、そして基調講演もされた作家の吉岡忍さんがいらっしゃいました。



原発はエネルギー政策であると同時に、安全保障や国家のあり方とも深く関わる問題でもあります。



議論の中で、いくつか印象に残った言葉がありました。



金平茂紀さんは、


「日本ペンクラブの役割は、声を上げられない人の代わりに伝えることではないか」


と話していました。



私自身も、書いて発信していくことの大切さを改めて感じました。



福島の復興についても議論がありました。


吉田千亜さんは、浪江町のロボットテストフィールドの例を紹介。ドローン配送などの研究が進んでいますが、軍事転用が可能な技術でもあるとのことでした。



復興という言葉のもとで地域が軍事研究の拠点として利用されていく可能性があること、また5年間で1000億円の予算がつく一方、国立大学の研究費は年間42万円ほどしかない場合もあることなど、研究資金の構造そのものが研究の方向を変えてしまうのではないかという指摘がありました。



菅政権の時には、日本学術会議の会員候補の一部が任命されないという出来事もありました。


学術会議は、学問を軍事に利用しないという理念のもと設立された組織です。



お話を聞いていて、この出来事は今につながる流れの伏線だったのではないかとも感じました。



また、吉岡忍さんの言葉も印象に残りました。


福島の事故は「風化」しているのではなく、新しい物語によって「上書き」されているのではないか。



その主語は市民ではなく、国家や経産省、東電であるという指摘です。



国家とは誰なのか。政治家や官僚はまだ顔が見える。


しかし本当に厄介なのは、顔の見えない力だという話もありました。



社会の中間地帯が弱まり、国家と個人が直接つながる社会になっている。


その中で排外主義や「純粋さ」を求める空気が強まっているのではないか、顔の見えない力になっているのではないかという考察でした。



最後に印象に残ったのは、大城弁護士の促しによって紹介された、吉田さんの林業についての話です。



林業の木こりの方は、木を伐る中で先人たちの仕事の仕方(将来を考えた伐り方)を感じるとのこと。



「この木を残すために、この木を伐る」


「会うことのない未来の人のために残せるか」



を考えているというお話でした。



短期的な利益ではなく、長い時間軸で社会を考える視点の大切さを感じました。これは、以前話を聞いた「未来世代法」にもつながる考え方だと思います。



そして改めて思ったのは、本来、学者や文筆家は社会に対して批判的な視点を持つ存在なのだということです。



メディアとは少し役割が違いますが、知識人として独立した立場から社会や権力を見つめ、問いを投げかける。そうした意味で、ひとつの「監視」の役割を担っているのだと感じました。



もちろん、国の政策や研究に協力すること自体がすべて悪いわけではありません。


ただ、お金や制度によって過度に近づきすぎるのではなく、一定の距離を保ちながら、批判的な思考をもって助言していくことが大切なのではないかと思います。



同時に、国の側も資金や制度によって学術や言論を過度に誘導することには自制的である必要があります。



「会うことのない未来の人のために何を残せるか」



この言葉が、今回の議論を象徴しているように感じました。


この問いを、しばらく考え続けたいと思います。






 
 
 

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