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- 香織 浜森
- 8月4日
- 読了時間: 5分
更新日:10月14日
7月21日に投開票が行われた参議院選挙から2週間が経ちました。改めて、全国と千代田区の比較を通じて今回の参院選を振り返ります。
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■今回の参院選のポイントの一つは、与党である自民・公明で参議院(定数248)の過半数を非改選含めて維持できるかどうか、という点でした。今回必要とされたのは50議席でしたが、結果は47議席にとどまり、与党だけでは参院の単独過半数に届きませんでした。これにより、衆議院と同様に参議院でも与党単独では法案を通せない「ねじれ」の状態となり、今後は他党との連携が重要になります。
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■投票率
全国の投票率は58.51%で、前回2022年から6.46ポイント上昇しました。大きな関心が寄せられた選挙だったことがわかります。
全国で投票率が最も高かったのは山形県(62.55%)、次いで新潟県(61.67%)、東京都が3位で61.53%でした。
都内23区では、文京区(68.95%)、千代田区(64.66%)、杉並区(64.64%)の順に高くなっています。
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■千代田区の投票率
物価高騰対策や減税などが争点となり、これまで選挙に行かなかった層の投票も増え、関心の高い選挙となりました。以下は、最近の主な選挙における千代田区の投票率です。
• 2023年区議選:48.00%
• 2024年都知事選:64.35%
• 2024年衆議院選挙:60.45%
• 2025年区長選:39.11%
• 2025年都議選:48.86%
• 2025年参議院選挙:64.66%
国政選挙への関心は高い一方で、地方自治体の首長選や区議選では投票率が低く、この差から地域政治への関心の低さもうかがえます。
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■女性の割合
今回は定数125人中、女性の当選者数は過去最多の42人で、割合は33.6%。前回の28%から5.6ポイント上昇しました。非改選を合わせた新勢力では、女性参院議員は過去最多の73人となり、全体の29.4%に。
政党別では、立憲民主党が12人で最多、自民党・参政党が各7人、国民民主党5人、日本維新の会3人、共産党・れいわ新選組が各2人、無所属4人でした。
なお、女性候補者は全体で152人(候補者総数522人)で、割合は29.1%。政府目標の35%には届きませんでした。
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■各政党の状況
自民党、公明党、共産党は議席を大きく減らしました。
都議選は国政選挙の前哨戦とも言われます。都民ファーストは今回出馬していないものの、自民・公明・共産の議席減という傾向は共通していました。
立憲民主党は微増・ほぼ横ばいでしたが、自民党の議席減に対して、受け皿になりきれませんでした。一方で、国民民主党や参政党が大きく躍進しました。
年代別には、10代〜40代で国民民主党や参政党、50代以上では自民党への支持が厚い傾向が見られました。
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■2022年参院選・2024年衆院選からの傾向
過去の比例代表での党派別得票数を見ると、自民党・公明党・共産党は以前から支持が低下傾向にったことがわかります。国民民主党は2024年衆議院選挙で大きく支持を伸ばし、今回やや落ち着いたものの人気は継続しています。
参政党は今回の選挙で大きく躍進。しばらくはこの勢いが続く可能性があります。
一方で、以前「ブレイク」していた日本維新の会は、参院選時と比較すると得票が56%に落ち込んでおり、やや勢いを欠く状況です。

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■千代田区の比例得票から
また比例代表の得票結果より、全国でも千代田区でも、新しい政党が伸び、既存政党が苦戦する傾向は共通しています。
ただし、全国では立憲民主党とれいわ新選組がほぼ横ばい〜微増だったのに対し、千代田区では両党ともに得票を減らしました。
これは、千代田区議会(定数25)で立憲が2議席、れいわが0議席と、地域での地盤を築けていないことが影響していると考えられます。
一方で、参政党は2年前の統一地方選から地道に地方議員を増やしており、それが今回の支持拡大につながったとも言われています。国政選挙であっても、地域に根差した活動が重要であることが示された形です。
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■「チームみらい」の躍進
千代田区で特筆すべきもう一つの動きが、「チームみらい」の躍進です。
比例代表の得票数では、全国では
①自民、②国民、③参政、④立憲、⑩みらい
となっていたのに対し、千代田区では
①自民、②国民、③参政、④みらい、⑤立憲
と、「みらい」が4位に入りました。
千代田区では、自民党と日本維新の会の得票が大きく減少し、その一部が国民民主党や参政党、そして「チームみらい」へと流れたと見られます。
千代田区は23区の中でも単身世帯が約6割と多く、特に若年〜中年層の一人暮らしが多い地域です。交通の便がよく、通勤重視で選ばれる傾向も強いように思われます。また、実感として士業や経営者の方が多い地域でもあります。
つまり、企業などで培われた「ファクト=データ」を重視する感覚を持つ方が多く、そうした点が「チームみらい」への期待につながった可能性があります。
ただし一方で、参政党とチームみらいがほぼ同じ得票を得たことには複雑な印象も残ります。
参政党には評価できる政策もある一方で、外国人排斥につながる発言や国民主権に懸念のある憲法案も示しており、不安を覚える部分もあります。
ただ、既存政党に希望が持てない、社会を変えたいという現役世代の切実な声が、こうした新しい政党への投票につながっていることも事実です。
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■おわりに
今回の選挙で改めて分かったのは、「投票率が上がれば、政治は変えられる」ということです。そして今後ますます求められるのは、希望を持てる社会をどう実現するかという「ビジョン」ではないでしょうか。
また、多様な人が暮らす社会の中で、多数決だけでは見えない小さな声を拾うこと、福祉など効率化してはならない領域を守ることも、政治に求められる重要な役割だと感じています。
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■政治に必要なこと
① 希望をもてる社会に変えるためのビジョンを示すこと
② データや根拠にもとづいて考え、検証していくこと
③ データだけでなく、人と会い、声を聞き、反映していくこと よろしければ動画もご覧ください
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